住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、一定の条件を満たすことにより「住宅ローン減税制度」を利用することができます。
住宅ローン減税制度は、購入者の金利負担を軽減するために創設された制度で、年末の住宅ローン残高に対する1%を10年間に渡って所得税額から控除する仕組みとなっています。
住宅を購入すると管理費や修繕積立金、固定資産税などローン返済以外にも何かとランニングコスト発生します。そのため、住宅ローン減税はローンを組まれる方にとって、極力利用しておきたい制度と言えます。
今回お伝えしたい主な内容は以下の通りです。
- 住宅ローン控除と減税は同じ意味
- 新築物件であれば13年に延長される可能性あり
- ワンルームや築古物件には要注意
- 投資用物件には減税制度が適用されない
▼住宅ローン控除の申請の流れや必要書類についてはこちら
住宅ローン控除とは?申請の流れや必要書類を詳しく解説
住宅ローン控除と減税の違い
住宅ローン減税制度についてウエブで検索すると「住宅ローン減税」の他に「住宅ローン控除」に関する記事も出てきます。
「控除」と「減税」の違いに疑問を持たれる方もいますが、実は2つは同じ意味です。
住宅ローン減税制度の正式名称は「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」であり、正式名称が長すぎるため不動産業界やネット界隈では「住宅ローン減税」や「住宅ローン控除」と呼称しているのです。
本記事では、以下内容から「住宅ローン控除」を使って説明していきます。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、金利負担を軽減することで住宅供給の促進を図る制度で、年末の住宅ローンの残高に対する1%を10年間に渡って所得税額から控除するものです。
なお、現行法においてはローン残高の上限が4,000万円(認定長期優良住宅または認定亭炭素住宅の場合5,000万円)と設定されており、控除額は最高でも40万円(50万円)です。
また、控除期間は10年とされていますが、平成31年改正において、消費税10%対象の新築物件を購入した場合は13年までに延長されることとなりました(※)。
(※)参考:住宅:住宅ローン減税 – 国土交通省
住宅ローン控除利用時の注意点
住宅ローン控除は全ての場合で利用できるわけではなく、下記のような複数の条件を満たす必要があります。
- 住宅ローンの借入期間が10年以上であること
- 住宅の床面積が50㎡以上あり、かつ床面積の2分の1以上が自己の居住用に供するものであること(床面積は登記簿に登録されている床面積で、マンションの場合は階段・通路など共用部分は床面積に含まれません)
- 物件取得後6カ月以内に入居し、控除を受ける年の年末(12月31日)に引き続き住んでいること
- ・この特別控除を受ける年の合計所得が3,000万円以下であること
- 居住した年、およびその前後2年間=合計5年の間に、居住用財産譲渡による長期増と所得の課税特例などを受けていないこと
- 耐火建築物(マンションなど)の建物の場合は、取得の日以前25年以内に建築されたもの(築25年以内)であること
- 耐火建築物以外(木造住宅など)の建物の場合は、取得の日以前20年以内に建築されたもの(築20年以内)であること
- 2005年(平成17年)以降に取得した住宅に限り、一定の耐震基準に適合していること(一定の耐震基準とは、地震に対策が施された安全上必要な構造方法を有する家屋を指します)
このように、物件に関する項目や購入者に関する項目など様々な要件があるため、購入物件における住宅ローン適用の成否をご自身だけで判断することはおすすめできません。必ず、契約前に仲介会社や税務署の窓口などで相談しておきましょう。
購入後は確定申告が必要
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んで住宅を購入すれば自動的に適用されるのではなく、購入後に確定申告による手続きが必要です。
確定申告は、毎年2月16日~3月15日の期間に行われます。ここで必要書類を添付の上、確定申告書を税務署に提出し、確定申告が受理されれば、指定口座に所得税の控除分額が還付される仕組みです。
なお、この確定申告は購入後の1回のみ行えば良いものです。2年目以降については、会社員の方であれば年末調整で処理されます。
税制度は改正される可能性がある
住宅ローン控除は永久的な制度ではなく、内容が都度改正される点にも注意が必要です。
平成31年の改正で一部の物件について13年の期間延長があったように、今後も面積要件や控除額など、大きな変更が生じる可能性があります。
現行の制度内容を把握するだけではなく、実際に購入されるタイミングで改めて確認することが重要です。
おわりに:適用されるかは慎重な判断が必要
住宅ローンを利用して住宅を購入した場合、一定の条件を満たすことにより年末の住宅ローン残高に対する1%を10年間に渡って所得税額から控除する「住宅ローン減税制度」を利用することができます。
利用できれば金銭的にとてもメリットが大きい制度となっていますが、全ての物件が対象となるわけではなく、物件に関する項目や購入者に関する項目など様々な要件があるため注意が必要です。
また、住宅ローンを組んで購入すれば自動的に制度が適用されるわけではなく、購入翌年に確定申告を行う必要があります。
さらに、住宅ローン控除は永久的な制度ではないため、実際に購入される際には、その時点でどのような制度内容になっているのか必ず確認しておきましょう。
この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。