2021.03.22

私道持分とは?私道の種類や調べ方も解説

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私たちの生活に欠かすことのできない「道路」。
道路は生活インフラとしての役割だけでなく、「建物を建てるためには法律が認めた道路に必ず接していなければならない」というルールが存在するため、不動産取引をする上でも特に重要な項目とされています。

そして、この道路には、行政が所有・管理する「公道」と個人が所有・管理する「私道」が存在し、特に私道は取り扱いに注意が必要です。
本記事の主な内容は下記の通りです。

  • 「私道」は個人が所有・管理する道路
  • 建築基準法上の道路に接していないと土地の価値が著しく落ちる
  • 私道には建築基準法上4つの種類がある
  • 私道持分の有無は必ず確認が必要

今回は不動産取引で特に私道について、私道の種類や調べ方まで詳しく解説していきます。

まずは私道を知ろう

「私道」とは、個人(法人)が所有・管理する道路のことを指しており「しどう」と読みます。
この私道に対して、行政が所有・管理する道路が「公道」です。
建物を建築するためには、私道・公道に関わらず、建築基準法に定められた4m以上道路に2m以上接していなければならず、万が一接していなければ「未接道物件」として著しく土地の価値が落ちてしまいます。

そのため、不動産取引を行う際には下記3つをしっかり確認する必要があります。

  • 土地が道路に接しているか
  • 道路が建築基準法に定められたものか
  • 道路が私道か公道か

そして、道路が私道である場合、単独で所有している場合もあれば、複数人で共有もしくは分割して所有している場合があります。

私道の種類

建築基準法では法第42条で道路について規定しており、その条文の内容によって道路の種類を区別しています。そのため、実務においては条項数を利用して「~条~項~号の道路」として分類しています。
下記は私道である可能性がある建築基準法の道路です。

  • 1項2号道路
  • 1項3号道路
  • 1項5号道路
  • 2項道路

1項2号道路

「1項2号道路」は開発行為によって作られた道路です。「開発道路」とも呼ばれます。
開発行為とは、一定規模以上の敷地を分割したり切土・盛土をするなど、主に建物を建築するために土地を加工する際、都道府県の許可を要する行為のことを言います。

開発行為は「都市計画法」という法律によって定められており、戸建てを建てるために敷地に道路を作るいわゆる「宅地開発」についてもこの開発行為に該当します。

この宅地開発において造られる道路は1項2号道路の私道として扱われ、宅地開発が完了した後はほとんどの場合市町村に移譲され、以後は公道(1項1号道路)として所有・管理ともに行政が行います。

ただし、一部の物件では、市行政への移譲手続きが行われず私道のままになっていることがあります。特に古くに宅地開発されたものには、現在も私道のままになっている物件も数多く存在しています。

1項3号道路

建築基準法は昭和25年11月23日に施行されました。
「1項3号道路」は建築基準法施行以前から存在していた4m以上の幅員がある道路を指します。
そのため「既存道路」と呼ばれたりもします。

1項3号道路は、単に「古くからある道路」として区別されているだけであるため、公道・私道いずれの可能性もあります。

1項5号道路

「1項5号道路」は土地所有者が開発行為によらずに造った4m以上の道路のことを指します。
特定行政庁から位置の指定を受けた道路として扱われるため、「位置指定道路」とも呼ばれます。

この道路は行政に移譲されることがなく私道のままです。開発許可が要らない小規模な宅地開発で、行き止まりの場所に造られる道路などに多くみられます。

2項道路<

「2項道路」は建築基準法施行以前から存在していた4m未満の幅員の道路を指します。
1項3号道路と同じように、単に「古くからある狭い道路」として区別されているだけであるため、公道・私道いずれの可能性もあります。

なお、2項道路は新たに建物を建てる場合は、現在の建築基準法に適合させるため、中心から2m以上道路後退(セットバック)する必要があります。

私道持分とは?

私道を複数人で所有する場合は下記2つのいずれかの方法が取られており、その道路の所有権を私道持分と呼びます。

  • 道路敷地を分割し、それぞれの土地を単独で所有する
  • 道路を一つの土地として共有で所有する

私道持分を持っていれば、他の所有者の承諾が無くても道路を自由に使用することができます。

私道負担とは?

私道負担とは、建物を建てるために前面道路の幅員が足りない場合に、道路を拡幅するための負担を言います。
2項道路の場合は既存道路の中心から2m道路後退(セットバック)する必要があり、この後退した部分が私道負担です。

土地を購入する際には注意が必要で、広告上の土地面積が私道負担の面積を含んでいる場合、有効土地面積は私道負担の面積を差し引いた面積となります。

私道持分のメリットとデメリット

続いて、私道持分のメリットとデメリットをチェックしましょう。

  • メリット:道路使用の権利がある
  • デメリット:維持管理の負担が生じる

メリット

私道持分があれば、道路の権利主張ができます。
私道は個人が所有する道路であるため勝手に利用することはできず、私道持分が無い場合は道路の所有者から通行承諾や使用承諾をもらうことが一般的です。
一方、私道持分があれば他の所有者とは「お互い様の関係」にあるため、基本的に承諾は必要ありません。

デメリット

私道は維持管理を個人で行わなければなりません。
そのため、道路の補修などが発生すれば、私道持分に応じた費用を負担する必要があります。

私道の調べ方とは?

道路が私道であるか公道であるかは、一部の幹線道路などを除いて、見た目だけで判断することは難しい場合が多いです。
そのような時は、下記2つの方法で調べてみましょう。

  • 行政の道路管理課に問い合わせる
  • 登記簿謄本を調べてみる

公道は各行政の道路管理課で管理しています。この窓口に問い合わせれば、対象の道路が公道か私道か回答してもらえます。
なお、対象道路が建築基準法上のどの道路に該当するかは道路管理課では把握しておらず、「建築指導課」(もしくは「建築審査課」など)という別の窓口で問い合わせる必要があります。

また、法務局で登記簿謄本を調べる方法もあります。
法務局で対象エリアの公図を調べ、道路である部分の敷地の登記簿謄本(全部事項証明書)を閲覧します。
私道である場合、この謄本上の所有者が個人名義で記載されているため、その時点で対象道路が私道であると判断することができます。

おわりに:「私道かどうか」と「私道持分の有無」はセットで確認しよう

「私道」は個人が所有・管理する道路のことを言います。
公道・私道を問わず、建物を建築するためには建築基準法に定められた道路に接していなければならず、もし接道していなければ土地の価値は著しく低くなります

対象の道路が私道であっても、建築基準法の道路であれば取引上で大きな問題はありませんが、私道持分の有無については必ず確認しましょう。
私道持分がなければ、一般的に道路所有者の通行承諾や使用承諾が必要です。

私道持分の有無は普段の生活のみならず、将来売却する際にも影響してくるため、私道持分が無い条件の物件はなるべく避けることが賢明と言えます。

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この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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