「中古マンションが欲しいけど、正社員じゃないからローンが組めない」と、はじめから購入を諦めている方はいませんか?
世間では「非正規社員=収入が不安定」という理由から、住宅ローンなど大きな借り入れが難しいとイメージされる傾向があります。
しかし、派遣社員でも、契約社員でも、パートであっても、下記の一定の条件をクリアすることによって住宅ローンを組むことが可能です。
- 契約社員の場合…1年以上継続して勤務していることで利用できる可能性あり
- 派遣社員の場合…3年以上の勤続期間があることで利用できる可能性あり
- パート・アルバイトの場合…フラット35など、一部のローン商品であれば利用できる可能性あり
今回は、住宅ローンの仕組みや雇用形態ごとの条件を詳しく解説します。また、住宅ローンを利用することができるのかも解説していきたいと思います。
契約・派遣・パート・アルバイトでも中古マンション購入はできる?
契約・派遣・パート・アルバイトといった非正規雇用の方々でも、住宅ローンを利用して中古マンションを購入することが可能です。
ただし、それぞれの雇用形態や勤務状況によって利用可否が分かれる点には注意が必要です。
まずは、どの様な場合であれば住宅ローンを利用することができるのか、雇用形態ごとにみていきましょう。
契約社員の場合
契約社員の場合は、1年以上継続して勤務していれば、正規社員と同じ条件で住宅ローンを組める可能性があります。
さらに、職務内容や勤務状況によっては勤続条件が緩和される場合もありますので、入社後間もない方であってもローン審査を通過できる場合があります。
派遣社員の場合
派遣社員の場合は、3年以上の勤続期間があれば正規社員と同じ条件で住宅ローンを組める可能性があります。
また、2割程度の自己資金を用意できる場合、勤続条件が緩和されることが一般的です。
パートやアルバイトの場合
フラット35など、一部のローン商品であれば利用できる可能性があります。
一方、都市銀行や地方銀行、信用金庫などの一般的な金融機関では与信条件が厳しいため、利用することが難しいと言われています。
住宅ローンを組むには条件がある
住宅ローンを利用するためには、雇用形態や勤続年数の他にもいくつか条件があります。
ここでは一般的にどんな審査基準が設けられているのかをご紹介します。
年収
住宅ローンが利用できる場合、その借り入れ可能額は、その方の年収によって審査されます。
その審査基準としてよく用いられるのが、「年収倍率」と「返済比率」と呼ばれるものです。
年収倍率は、「年収の何倍程度であれば借り入れ可能」というふうに単純倍率をかけて算出する考え方です。一般的には「年収の5倍程度」と言われていますが、近年は低金利が続いておりその倍率は上昇傾向にあります。
また返済比率は、「年収に対する住宅ローン返済が占める割合」を基に算出する方法です。一般的には「年収の35%程度」と言われていますが、少し計算方法が複雑なため、まずは仲介会社に問い合わせることがおすすめです。
ただし、金融機関や経済状況、地域などによって基準が異なることから、算出した金額はあくまで参考程度であるという点には注意が必要です。
健康状態
住宅ローンを組む際には、団体信用生命保険(通称、団信)への加入が必要な場合が多いです。
団信とは、住宅ローンの債務者が万が一死亡または高度障害となり働けなくなった場合、保険を適用してローン残高をゼロにする仕組みです。
現に持病を持たれている場合、病気の内容によっては審査の通過が難しい場合がありますので、不安な方は、事前に各金融機関に問い合わせることをおすすめしています。
物件担保評価
住宅ローンを組む場合、購入した物件に「抵当権」が設定されます。
抵当権は、債務者がローン返済できなくなった場合、物件を売却することで抵当権者である金融機関が残債を回収しようというものです。
中古マンションの場合は、築年数などにより担保評価額が異なります。あまりに築年数が古い場合は、担保評価も相応に低くなるため、希望する金額まで借り入れできない可能性もあります。
連帯保証
住宅ローンを組む際には、信用保証会社への加入が条件であることが一般的です。したがって、借り入れ時に一括して保証金を支払う、あるいは毎月の返済額に上乗せして支払うことにより、その保証を受けます。
この信用保証会社の審査では、過去・現在に借金の延滞がないか、また申告漏れの借金がないか「信用調査」が厳しく行われます。
この審査の結果によっては、借り入れ可能額の減額や連帯保証人の追加など、借り入れ条件に大きく影響する可能性があるため、オートローンやカードローンなど、ご自身の借り入れ状況については明確に把握しておく必要があります。
住宅ローンの仕組みと種類
住宅ローンは金融機関からの借り入れであるため、当然ながら金利が発生します。返済期間中は、物件購入費用である元金に金利を上乗せした金額を毎月支払います。
なお、この返済方法と金利にはいくつか種類があるため、利用する前にそれぞれの特徴を把握しておくことが重要です。
固定金利
借り入れ時に設定された金利が、返済完了まで変わらないタイプです。
返済計画が立てやすく、金利が変わらないため安心ですが、次に登場する変動金利よりも設定される金利が高いというデメリットがあります。
なお、非正規雇用の方でも借り入れが比較的容易な「フラット35」という商品は、基本的にこの固定金利が適用されます。
変動金利
借り入れ時の金利が市場金利の変動にともなって変わるタイプです。
5年ごとに市場金利にあわせて金利が見直され、それによって毎月の返済額が変わります。
市場金利の上昇下落によって返済額が変わるため固定金利と比べて安心感に欠ける一方で、設定される金利が低いというメリットがあります。
元金均等方式
元金均等返済は、毎月同じ額の元金に、利息を加えた額を返済する方法です。
元金残高が減る分に応じて利息も減っていくため、返済額は回数を追うごとに減っていきます。
さらに、毎回一定額の元金を返済できるので、次に紹介する元利均等方式よりも総返済額は少なくなります。
しかし、初期は元金が多い分利息額も大きくなるため、返済額が高額になるデメリットがあります。
元利均等方式
元利均等返済とは、元金分と利息分を合わせた毎月の返済額を一定にする返済方式です。
返済額に占める元金と利息の割合を変化させることにより、毎月の返済額を一定にするのです。したがって、返済計画を立てやすいというメリットがあります。
一方で、元金均等方式と比べると元金の減るスピードが遅いため、金利にもよりますが、最終的な支払い総額が多くなる可能性があります。
住宅ローンを組むときの注意点
ここまで、住宅ローン利用の条件と仕組みを解説してきました。
それでは、住宅ローンを組むときには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。
住宅ローンの注意点
住宅ローンは組むことがゴールではありません。
実際、欲しい物件が目の前にあると、無理な返済計画をしてでも購入される方がいます。これで購入した後に返済不能となってしまっては本末転倒です。
住宅ローンを利用する際は、無理のない返済計画を基に購入可能額を算出し、物件を選ぶことが最も重要です。
仲介会社であれば、住宅ローンの返済の他、税金などのランニングコストを含めた詳細な返済計画を組んでくれますので、まずはご相談してみることがおすすめです。
年収例と支払い額の例
ここで、具体的に住宅ローンを組んだ方の参考事例を見ていきましょう。
年収300万円のAさんは、住宅購入のために自己資金として200万円の用意があります。
一般的に、月収に占める家賃の割合は30%が上限と言われているため、月収換算で25万円であるA
さんの場合は、約7.5万円が返済額の月額上限となります。
この条件において、仮にフラット35という住宅ローン商品を利用し年率1.5%の金利で借り入れる場合、借り入れ可能額は約2,400万円で、自己資金の300万円を加えると、購入可能な物件価格は約2,700万円です。
ただし、中古マンションを購入する場合は、他に管理費や修繕積立金などのランニングコストがかかります。もし月に1.5万円程の負担がある場合、住宅ローン返済に充てられる金額は6万円となり、これを基に計算すると借り入れ可能額は約2,000万円、自己資金を加えて購入可能な物件価格は約2,300万円です。
このように、住宅ローンを組む場合は返済額だけでなく、ランニングコストを考慮して借入額を設定することが注意すべきポイントです。
終わりに:非正規雇用であっても、住宅ローンは利用できる
以上、派遣社員・契約社員・パートでも一定条件をクリアすれば、住宅ローンを利用して中古マンションを購入できることがわかりました。
ただし、住宅ローンは「借りるまで」よりも「借りた後」の方が重要であることに注意が必要です。入居後に返済不能ならないよう、返済計画を仲介会社としっかり相談したうえで購入しましょう。
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この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。