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2020.12.04 

不動産の「告知事項あり」の範囲とは?心理的瑕疵の意味も解説

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不動産広告では、稀に「告知事項あり」という文字が記載されていることがあります。
ここで言う告知事項とは、検討者の購入意思に大きな影響を及ぼす可能性がある「物件のネガティブな事実」について、告知すべき内容のことを指します。

告知事項・告知事項物件とは、

  • 告知事項は「表面的には判断しづらい欠陥」のこと
  • 告知範囲に決まりはない
  • 「告知事項あり物件」は価格が安い傾向がある

です。

この告知事項の説明は売主の義務となっているため、不動産広告に「告知事項あり」と記載されるのですが、ネガティブな内容であるため大きな文字で記載されることはまずありません。

基本的には広告の備考欄にとても小さな文字で記載されているため、一見するだけでは告知事項があることに気づかず、物件が気に入ったタイミングで仲介会社から「実は・・・」と詳細を伝えられるケースも少なくないのです。

せっかく労力と時間をかけて気に入った物件が見つかったにもかかわらず、告知事項のために購入を諦めることは非常に残念なことです。
そのようなリスクを避けるためにも、告知事項については事前に正しく理解しておくことが重要です。

今回は、あまり耳慣れない「告知事項」について、ポイント分かりやすく解説していきます。

目次

不動産の「告知事項あり」とは?

告知事項とは、購入意思に大きな影響を及ぼす可能性がある「物件のネガティブな事実」について、事前に売主から購入検討者へ告知すべき内容のことを指します。

そしてこの告知事項には大きく4つの種類があります。

  • 物理的瑕疵
  • 法律的瑕疵
  • 環境的瑕疵
  • 心理的瑕疵

「瑕疵」とは?

ここで言う瑕疵(かし)とは、言い換えると「表面的には判断しづらい欠陥」のことです。
内見をする際は、部屋の間取りや付帯する設備機器の状態など、目で見てわかる範囲でしか物件の状況を把握することができません。

目で見えない範囲、つまり地中や建物躯体の内部の状態、物件周辺の状況等ついては、たった数時間物件を内見するだけでは、存在するリスクを把握することは難しいと言えます。
そこで、不動産取引の手続きとして、物件引渡し後一定期間の間に何らかの瑕疵が発見された場合については、売主に補修などの義務を課す「契約不適合責任」を設定することが一般的です。

瑕疵は告知義務がある

いずれにしても、そもそも欠陥がある事実を売主が知っているのであれば、事前に購入検討者へ説明する必要があります。

これら欠陥の内容は、売買契約書の締結前に仲介会社(宅建取引士)から説明される「重要事項説明書」や、契約時に売主から交付される「物件状況報告書」に記載されます。売主が告知し買主が了解した内容については、仮に引渡し後において告知内容に起因する損害が発生したとしても、買主から売主へ責任追及することは原則的にできません。

以上のように、物件の目に見えない欠陥について、売主に一定の責任を課すことが一般的な不動産取引となっているため、事前に売主が認知している瑕疵については買主へ告知する必要があるのです。

「心理的瑕疵」とは?

心理的瑕疵とは、心象的に悪くなるような、過去に物件内で生じた事件・事故などを指します。
例えば、自殺や殺人事件、孤独死などが該当します。

このような出来事は、世間のほとんどの方にとっては忌々しいことであるため、購入意思に重大な影響を及ぼす欠陥の一つとされています。
なお、ネットやニュースで言われる「事故物件」とは、この心理的瑕疵がある物件を指していることがほとんどです。

「告知事項」はどこからどこまでが範囲になる?

残念ながら、告知事項の説明範囲には明確な基準がありません
特に心理的瑕疵については、それが欠陥であるか否かは主観的な問題であるため、告知事項なのか判断が難しいケースもあります。

殺人事件があった、亡くなってから数ヶ月間発見されない孤独死があったなどであれば、過去事例や判例に従わずとも、それが告知事項であると一般常識として処理できます。
しかし、例えば孤独死の場合、当日に発見されたとしても忌々しいと感じる方もいれば、そもそも病死であれば気にしないという方もいます。

また、事件の場合、何年前の出来事まで遡れば良いのか、という問題もあります。
これも主観によって、良い悪いは判断が分かれるところです。

意見が分かれるような微妙な問題については、最終的には司法判断に委ねるほかありません。
そのため、売主側も知っている内容については極力告知するように努めており、不動産仲介会社もそのようにアドバイスしていますが、検討者からも過去の事件・事故の有無については必ず問い合わせましょう。

「告知事項あり」でも購入はできる?

「告知事項あり」でも購入することは可能です。
また、告知事項ありの物件は市場相場よりも安く価格が設定される傾向があります。

物理的瑕疵の場合、購入後に躯体や設備機器の補修費用が発生します。また、法的瑕疵の場合は用途変更などによって再建築後の床面積が減少するなど、物理的瑕疵や法的瑕疵は金銭的デメリットが分かりやすく、その分物件価格が安く設定されます。

そして環境的瑕疵や心理的瑕疵も同じく安く設定される場合がありますが、こちらは主観的な問題であるため、周辺の嫌悪施設や過去の事件・事故などを実害と思われない方にとっては、むしろお買い得である場合があります。

いずれにしても、瑕疵は何かしらの実害であることには注意が必要です。瑕疵物件を検討される際は、その瑕疵の内容や程度などをしっかり把握してから購入されることが重要です。

おわりに:

告知事項とは「表面的には判断しづらい欠陥」のことを指しており、その欠陥には「物理的瑕疵」「法律的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」の4種類があることがわかりました。

4つの瑕疵の中でも、物件内で過去に起こった事件や事故などを内容とする心理的瑕疵は、そもそも瑕疵に該当するか否か客観的な判断が難しいという問題があります。
そのため、特段告知事項がないとしても、物件を検討される際は過去の事件・事故の有無については、必ず売主や不動産仲介会社に問い合わせておきましょう。

また、告知事項ありの物件は、市場相場よりも安く価格設定される傾向があります。もし、その物件が抱える瑕疵がご自身にとって大きな実害にならないのであれば、告知事項ありの物件を検討することも一つの方法と言えそうです。

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この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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