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2021.02.26 

住宅ローン減税が改悪されるのはいつ? 改正内容や問題点を解説

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住宅ローン減税は、マイホームを購入しようとする人をサポートする制度です。しかし、これが改悪されるのではないかと言われています。「控除期間13年が10年に変わる」「減税額が小さくなる」といった内容ですが、いつどのように改正されるのかを知っておいて、計画的に損をしないように制度を活用しましょう。
本記事では、住宅ローン減税の改正内容と問題点について解説します。

目次

住宅ローン減税の改正とは?

住宅ローンを利用して家を買うと、住宅ローン減税が受けられます。家を購入しようと考えている人にとって、この制度はかなり「お得」です。しかし、この制度が改められ、利用者にとっては「改悪」になるかもしれません
まずは、今の制度の内容と、どのように改正されるのかを整理しましょう。

現在の住宅ローン減税の仕組みは、次のようになっています。

  • 「年末の住宅ローン残高×1%」分の所得税が減税される
  • 所得税で引ききれなかった分は、住民税から減税される
  • 減税が適用される住宅ローン残高の上限は4,000万円。一定の条件を満たせば上限5,000万円
  • 控除が受けられる期間は10年

2021年に改正予定の内容

2021年の住宅ローン減税がどうなるかは、まだ確定していません。しかし、どのような改正をするかの提案内容はわかっています。

2020年末で切れてしまった特例を延長する

現在の10年の控除期間を「13年」にするもので、利用者にとって良い改正です。
注文住宅の場合は2020年10月から2021年9月までに契約したもの、分譲住宅等の場合は2020年12月から2021年11月までに契約したもので、2022年末までに入居したものが対象となります。

減税対象の床面積の最低ラインを引き下げる

これまで50㎡以上で減税の対象となっていたのを、40㎡以上に緩和します。ただし、40㎡以上50㎡未満で減税が受けられるのは、合計所得金額が1,000万円以下の場合だけです。

2022年以降に改正されるかもしれない内容

2021年の改正の後、2022年以降に改正される可能性がある点が、「改悪」と言われています。
詳しくは後で説明しますが、「逆ざや」と呼ばれる住宅ローンのお得な部分が解消され、減税金額が大幅に減るのではないかと話題になっています。住宅ローンを利用して家を購入する人からすれば、減税額が減り、家の購入費用が実質的に上がってしまうため、「改悪されるかもしれない」と言われているのです。

また、コロナ対策として延長される予定の「控除期間を13年とする特例」が終了する可能性もあります。

過去の住宅ローン減税の変化

2022年以降の改正で「控除期間を13年とする特例」が終了するかもしれない理由は、過去の住宅ローン減税の変化を見ればわかります。

2019年9月までは、住宅ローン減税が受けられる期間は10年でした。それが、消費税が10%に増税されるのに合わせて、10月からは特例で13年に拡大されました。
この特例は短期間で終了する予定だったのですが、新型コロナ問題にともなう経済対策として2020年末までに居住開始したものまで延長となっていたのです。2021年の改正では、新型コロナ問題がまだ収束していないため、この特例が延長される予定です。

つまり、今後、ワクチンや治療薬が普及して新型コロナ問題が解消すると、特例は延長されなくなり、控除期間は10年に戻ると考えられます

そもそも住宅ローン控除はなぜお得なのか?

ここまで住宅ローン減税の改正について解説しましたが、そもそも、どうして住宅ローン減税がお得だと言われているのでしょうか。「住宅ローンを借りると儲かる」と言う人もいます。その仕組みをお話ししましょう。

仮に、住宅ローンで2,500万円借りたとしましょう。金利は0.5%で、元利均等で返済します。
この場合、毎月の返済額は約65,000円で、1年で78万円返済します。そのうち、金利相当分が約12万円、元本返済分が66万円です。すると、1年後の住宅ローン残高は2,434万円で、その年は243,400円の減税が受けられます。

住宅ローンを借りたことで払わなければならない金利が約12万円なのに対して、減税額が約24万円となり、金利分以上にお金が返ってくる計算です。これが住宅ローンの「逆ざや」と呼ばれるもので、借入金利が低くなればなるほど、逆ざやの金額も大きくなります
だから、「住宅ローンを借りると儲かる」と言われるのです。

会計検査院が目をつけた住宅ローン減税の問題点

2020年11月に会計検査院が出した報告書(※)に、住宅ローン減税の逆ざやを問題視する内容が書かれていました。

その報告書によると、フラット35の借入金利は、2008年4月は2.64~3.20%だったのが、2020年8月には1.17~1.87%となっています。フラット35のような固定金利よりも、変動金利の方が金利は低くなります。今後、すぐには金利が上昇しないだろうという予測もあり、近年では変動金利を選択する利用者も多いようです。実際、借入金利が確認できた範囲で、「住宅ローン控除特例の控除率である1%を下回る借入金利で住宅ローンを借り入れている者は……78.1%となっていた」そうです。

本来、住宅ローン減税の目的は、住宅ローン利用者の金利負担を軽くするためです。そのため、逆ざやが問題視されているのです。
2022年以降には、この逆ざやを解消するために、減税される金額の上限を「住宅ローン残高の1%または、所得税・住民税の金額のいずれか少ない方」にするという改正案が出されるかもしれません。先程の例で言うと、減税額が「金利負担額と同じ約12万円」に下がってしまうことになります。

住宅ローンの利用者にとっては改悪ですが、それ以外の人にとっては、大切な税金が住宅ローンを借りている人のためだけに使われてしまうため、不平等な状態を解消するためのものでもあります。

※会計検査院「令和元年度決算検査報告」:
最新の検査報告 | 検査結果 | 会計検査院 Board of Audit of Japan

購入者にとって得する改正内容も。損しないためにはどうする?

住宅ローン減税の改正予定と、これから予想される展開についてお話してきました。その内容からわかるとおり、2021年改正は家を購入する人にとって得するものです。しかし、国が住宅ローン減税の逆ざやを問題視しはじめているため、2022年以降の改正で減税される条件が改悪されるかもしれません。

また、超低金利を背景に、銀行の住宅ローン金利が引き下げ競争になっていたのが変化する可能性もあります。もし、金利が低くても減税額との逆ざやが生まれないのであれば、過度な引き下げ競争が起きず、最低金利が1%近い水準に上がってしまうことも考えられるでしょう。

今の段階で一番お得なのは、2021年の改正が成立した場合の特例のうちに家を購入することです。繰り返しになりますが、下記のような契約日と入居日についての条件があります。

【契約日】
注文住宅:2021年9月末まで
分譲住宅等:2021年11月末まで

【入居日】
2022年末まで

家と住宅ローンを契約したものの、制度改正を知らずに損をしてしまうのはもったいないです。損をしてしまわないよう、最新情報をチェックするようにしましょう。

信頼できる不動産会社に相談しておくのもよいでしょう。
▼不動産会社選びの際にあわせて読みたい記事はこちら。
仲介手数料無料は危険?中古マンション購入の際に誠実な不動産会社を見極める5つのポイント

「今がお得」ですが、家探しは慎重に

2021年の改正が成立することが条件ですが、住宅ローンを利用して家を購入するのは今がお得と言えます。とは言っても、家は人生で一番大きな買い物です。マイホームを手に入れた後の生活を考えると、失敗しても「すぐに売って、他の家を買いなおす」というわけにはいきません。だからこそ、時間をかけて慎重に決めるようにしましょう。
控除期間が長くなる特例が受けられるのには期限がありますが、できるだけ早く本格的な家探しを始めて、お得に理想の家を手に入れられるようにしましょう。

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この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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