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2021.03.11 

共同仲介の仕組みや、売り主・買い主へのメリット・デメリットを解説

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不動産取引にはさまざまなルールが存在します。
このルールは民法や宅地建物取引業法などによって定められており、もし当事者間で紛争が起きたときはこれらの法律に基づいて解決を図ります。

しかしながら、そもそも取引の当事者である売主と買主は、不動産を「高く売りたい」「安く買いたい」と考えるのが通常であるため、基本的に利害が一致することはありません。そこで活躍するのが不動産の「仲介会社」です。

仲介会社は取引を安全かつスムーズに行うために、売主と買主の間に立って売買条件を調整し、その対価として「仲介手数料」を受け取ります。
取引成立には仲介会社が1社いれば問題はないのですが、不動産取引においては仲介会社が2社介在する「共同仲介」という取引形態が存在しています。

今回の記事の主な内容は以下のとおりです。

  • 「共同仲介」は売主側・買主側それぞれに仲介会社が付く
  • 共同仲介は特定の仲介会社に依頼できることがメリット
  • 共同仲介は条件交渉に時間がかかるリスクがある

不動産を売る・買うときには、売買価格や売買条件に意識が集中しがちです。
しかし、ご自身の大切な資産売却を依頼する、あるいは大金を支払って購入することは大事なライフイベントでもあるため、依頼先である仲介会社の仕組みについても理解しておくことは非常に重要です。

今回は共同仲介の仕組みや、売主・買主へのメリット・デメリットを詳しく解説していきます。

目次

共同仲介とは?

「共同仲介」とは、売主側・買主側それぞれに仲介会社が介在する取引形態を言います。
共同仲介を理解するためには、共同仲介を含めた3つの取引形態を知っておく必要があります。

  • 単独仲介
  • 共同仲介
  • 代理取引

単独仲介

「単独仲介」とは、仲介会社が1社だけの取引形態です。
売却活動を依頼された仲介会社が直接購入者を見つけた場合、買主側の仲介会社も兼ねることができます。
この場合、仲介会社は売主側・買主側の両方から仲介手数料を受け取ることができます。

そのため、不動産業界では単独仲介のことを「両手仲介」や「両手取引」と呼び、仲介会社にとっては最も収入が見込める取引形態です。

共同仲介

共同仲介は、仲介会社が2社以上いる取引形態です。
原則的に、売主から依頼された売却物件は「レインズ」と呼ばれる情報サイトに掲載されます。
レインズは不動産会社だけが利用することができ、仲介会社は購入相談を受けた際にこのレインズから希望条件に合致する物件を検索します。

その結果、他社の売却物件で条件に合うものが見つかれば、売主側の仲介会社に内見の了承を取り案内をします。ここで購入相談者が物件を気に入れば購入申込み、および契約という流れです。
この様に売却物件は不動産市場で広く流通しているため、売主側と買主側で別々の仲介会社が介在する場面が頻繁に起こるのです。

なお、仲介手数料は売主側・買主側でそれぞれ支払います。先ほどの単独仲介に比べ、共同仲介では仲介会社が受け取れる収入は半分です。
単独仲介を「両手取引」と呼ぶのに対して、共同仲介は「片手取引」や「分かれ」と呼ばれます。

また、大きな不動産取引の場合、売主側に複数社、買主側に複数社など、それぞれに複数の仲介会社が介在し、業務を分担して行う場合もあります。
この取引形態についても、不動産業界では共同仲介と分類しています。

代理取引

売主から売却を依頼された不動産会社が仲介ではなく「代理人」として取引することを「代理取引」と言います。

仲介と大きく異なるのは、代理取引では民法によって「双方代理が禁じられている」という点です。
先ほどの単独仲介では売主側・買主側の両方から仲介手数料を受け取ることができるのに対し、代理取引では民法の規定により、片方からしか手数料を受け取ることができません。
ただし、代理手数料の上限金額は仲介手数料の2倍に設定されています。

代理取引は、不動産会社が新築住宅の分譲する際、販売を専門とする会社に委託する場合などで用いられることが一般的です。
したがって、一般消費者同士の取引では利用されることはほとんどありません。

共同仲介のポイント

共同仲介は以下概要を覚えておきましょう。

  • 売主側・買主側それぞれに仲介会社が介在する取引形態
  • 仲介会社の手数料はそれぞれから受け取る
  • 片一方に複数の仲介会社が介在し、業務を分担して行う場合も共同仲介に分類される

買主の共同仲介のメリットとデメリット

共同仲介の仕組みを理解した後は、メリットとデメリットについても見ていきましょう。
まずは買主の共同仲介についてです。

メリット

  • 信頼できる仲介会社に依頼することができる
  • 思い切った価格交渉ができる

不動産取引において、契約書や重要事項説明書は売主側の仲介会社が作成することが一般的です。
しかし、仲介会社や担当者によって質が異なるため、相手がプロだからといって安心できません。
ここで、依頼する仲介会社が初めから決まっていれば、その仲介会社が独自に物件に関する役所調査や契約書類のチェックを行うため、安心して取引に進むことができます。

また、単独仲介では仲介会社は売主の依頼も受けているため、利益相反する価格交渉の場面では、買主からの思い切った条件提示を受けて入れてもらえない可能性もあります。
しかし、共同仲介であれば、買主側の仲介会社は売主の顔色を伺う必要が無いため、一般的な許容範囲であれば思い切った条件提示についても協力してもらえることが多いです。

デメリット

  • 他物件を紹介してもらえない可能性がある
  • 買主としての優先度が下がる可能性がある

仲介会社は単独仲介を好みます。
そのため、自社で売却依頼を受けている物件を優先し、流通している他社の物件を紹介してもらえない可能性があります。

また、買主としての優先度が下がる可能性があります。
売主側の仲介会社としてもなるべく自社の購入相談者に購入してもらいたいため、特に条件が良い物件は、他社からの紹介者を「商談中」などといって受け付けない仲介会社も存在します。

これは不動業界で「囲い込み」と言い、信義則に反するものとして禁止されていることなのですが、残念ながら未だに一部仲介会社の間で行われています。

売主の共同仲介のメリットとデメリット

続いて売主の共同仲介について見ていきましょう。

メリット

  • 早期に買主が見つかる可能性がある
  • 売主優先で条件交渉をしてくれる

共同仲介であれば、買主の見つかる可能性が上がります
不動産売却では、売主のなんらかの事情によって単独仲介を選択する場合があります。この場合、依頼した仲介会社の既存顧客や直接問い合わせてきた顧客から購入検討者を探さなければなりません。

一方で共同仲介を前提としている場合、先述のレインズなどによって広く集客ができるため、買主発見の可能性が高まるのです。

また、購入検討者との売買条件の調整においても、依頼した仲介会社はあくまで売主利益に尽力してくれるため、成約のための安易な価格調整など、売却条件面でのリスクを抑えることができます。

デメリット

  • 条件調整が難航する可能性がある
  • 買主の状況が把握しづらい

共同仲介では売買条件の調整が難航する可能性があります。
当然、単独仲介であっても難航するケースはあります。ただし、単独仲介では仲介会社が売主と買主の事情をよく理解した上で、両者の利益を極力最大化できる範囲で着地点をコントロールしていきます。

一方、共同仲介では売主側・買主側の仲介会社がそれぞれの利益を主張するため、折り合いが付かなくなるケースが少なくありません。

また、売買手続き中の買主の状況が把握しづらい点もデメリットとして挙げられます。
単独仲介であれば、買主のローン審査の状況など、気になる点については仲介会社に聞けばすぐに報告を受けることができますが、共同仲介では仲介会社同士の連絡にタイムラグが発生するため、その分買主の状況把握に時間を要するのです。

共同仲介の注意点

共同仲介で取引を行う場合は以下2つの点に注意しましょう。

  • 信頼できる特定の仲介会社を決めておく
  • 相手方との条件交渉に時間がかかる可能性を理解しておく

一番重要なことは、信頼できる仲介会社を選ぶことです。
利益最優先の仲介会社は単独仲介を好みます。売側では囲い込み、買側では他社物件の紹介を拒むなど、ルール違反をする仲介会社も少なくありません。
そのため、納得のいく売買を実現するためには、顧客最優先の仲介会社に出会うことが最も重要なのです。

また、購入申込書の授受があっても、その条件内容によっては単独仲介よりも交渉に時間がかかる場合もあります。
この点も考慮して、売買スケジュールを考えておくことも大切です。

おわりに:取引の仕組みを理解して納得のいく売買を実現しよう

不動産取引の形態には、「単独仲介」「共同仲介」「代理取引」の3つがあります。
その中で共同仲介は、売主側・買主側それぞれに別々の仲介会社が付く取引形態です。

共同仲介は2社の仲介会社が介在していることにより、売主側としては早期の買主発見に期待ができること、買主側としては思い切った条件提示がしやすいといったメリットがあります。

いずれにしても、取引において最も大切なことは「信頼できる仲介会社に出会うこと」です。

▼こちらの記事では、誠実な不動産会社を見極めるポイントを解説しています。
仲介手数料無料は危険?中古マンション購入の際に誠実な不動産会社を見極める5つのポイント

これから不動産売買を検討されている方は、物件のスペックや売買条件だけに注目するのではなく、ぜひ仲介会社選びにも注力しましょう。

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この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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