住宅を購入する際には、物件代金のほかに「諸費用」と呼ばれるさまざまな支出が発生します。
この諸費用は、通常は住宅ローンの借り入れには組み込まず、現金で支払う費用であるため「いざ支払うタイミングで手元の現金が足りない」といったトラブルに悩む方が少なくありません。
このようなリスクを回避するためにも、事前に「何にどのくらいの費用がかかるのか」を確認しておくことが重要です。
諸費用の必要金額は、新築か中古かなど物件の種別によって異なります。
これらの諸費用はケースにもよって異なりますが、新築マンションの場合で物件価格の3~5%程度、中古マンションと一戸建ては6~10%程度、注文住宅は土地・建物の総額の10~12%程度が目安と言われています。
本記事でお伝えしたい資金計画の考え方のポイントは以下のとおりです。
- 中古物件は諸費用が割高なケースが多い
- 3大支出は「仲介手数料」「ローン保証料」「登記費用」
- 引っ越し代や家具代も忘れずに
住宅購入の成功には、物件選びのみならず資金計画がとても重要です。ご自身の希望される物件ではどの程度の資金が必要となるのか、ぜひ本記事を参考に考えてみましょう。
中古住宅購入にかかる平均費用
中古住宅購入にかかる諸費用は、おおむね「物件価格の6~10%程度」が必要と言われています。
中古住宅で最も支出が多いのが「仲介手数料」です。
仲介手数料は、物件探しや契約手続きなどを依頼する不動産仲介会社へ支払うもので、金額はおおむね「物件価格の3%程度」が必要となります。
また、住宅ローンを利用する場合は保証料が必要です。この保証料を支払うことにより、返済ができなくなった場合、保証会社が代わってその残債を住宅ローンの貸主である金融機関へ支払います。
なお、この保証料の金額は指定された保証会社によって異なりますが、ローン実行時に一括で支払う場合、30年の借入期間で1,000万円あたり20万円程度となります。
保証料は「一括支払い型」のほかに「金利上乗せ型」があります。金利上乗せ型の場合、月々の返済に上乗せして保証料を支払うため、購入時の諸費用を抑えることができますが、一括支払い型に比べて保証料の総支払額は高くなります。
新築一戸建てにかかる平均費用
新築一戸建てにかかる諸費用は、建売の場合は「物件価格の6~10%程度」、注文住宅の場合は「物件価格の10~12%」が必要です。
注文住宅の諸費用金額が多いのは、土地と建物が別々の契約手続きであるため、その分の登記費用や印紙代など項目が多いこと、また建物の確認申請など行政手続きに関する費用が生じてしまうためです。
なお、建売の新築一戸建ては、建物売主が直接販売している場合と仲介会社が介在している場合があります。上記の「物件価格の6~10%程度」は仲介会社が介在する物件の金額であり、建物売主が直接販売する物件の場合は仲介手数料が発生しないためここから3%程度諸費用が安くなります。
購入~引き渡しまでにかかる平均費用
ここまで解説したとおり、「購入から引き渡しまでにかかる諸費用の平均費用」は、下記を覚えておくと良いでしょう。
- 新築マンション:物件価格の3~5%程度
- 中古マンション・中古一戸建て:物件価格の6~10%程度
- 注文住宅:土地・建物の総額の10~12%程度
このように、購入に関する資金計画を考える際は「物件の種別によって必要な諸費用が異なる」ことがポイントです。
また、忘れがちなのが「消費税」の取り扱いです。諸費用において、支払先が仲介会社や司法書士など課税業者である場合は消費税がかかります。そのため、資金計画をする際はこれら消費税分についても見込んでおくことを忘れないように注意しましょう。
引き渡し時にかかる費用とは?
諸費用は、項目によって支払うタイミングが異なります。
そのタイミングの中で最も支払額が多いのが「引き渡し時」です。
引き渡し時には、主に下記の支払いが発生します。
- 仲介手数料
- 住宅ローン保証料
- 登記費用
ここまで紹介した仲介手数料と住宅ローン保証料に加えて「登記費用」が発生します。
この登記費用には「所有権移転登記費用」と、住宅ローンを利用する場合は「抵当権設定登記費用」が含まれます。
所有権移転登記とは、売主から買主へ所有権が移ったことを「登記簿謄本」という法務局に備え付けられる法的な書類(データ)に情報登録することを言います。
また抵当権設定登記も同じように、住宅ローンの貸主である金融機関が物件を担保とする内容「抵当権」を登記簿謄本に情報登録します。
そしてこの登記はそのプロである司法書士に依頼することが一般的です。登記費用は、司法書士へ支払う「報酬」と登記に必要な「登録免許税」を合わせて、引き渡し当日に司法書士へ一括して支払います。
引っ越し、家具購入などの費用も忘れずに
ここまで購入手続きに必要な諸費用の平均費用と主な項目について紹介しました。
しかし、忘れていけないのは物件購入後も「引っ越し代」や「家具購入」にお金がかかるということです。
資金計画をする際は、この購入後の支出が忘れがちです。購入したものの、それまでの諸費用の支払いで現金が尽きてしまわないように、購入後の支出についても計算に入れながら資金計画を行うことが重要です。
新築・中古マンション、一戸建てで迷っているなら資産価値も計算に入れてみよう
新築・中古マンション、一戸建てで迷っている方には、「諸費用の金額がどれくらいかかるか」だけではなく、物件の「資産価値」も考慮して選ばれることをおすすめします。
新築物件の諸費用は中古物件に比べて、購入時の諸費用は安く抑えられる場合が多く、現金の持ち出しが少なくて済むため一見お得なようにも思えます。しかし、新築物件は入居後すぐに市場価格が2割程度落ちるとも言われるため、将来的に売却する際に残債割れを起こす可能性もあるのです。
物件の特性によっても異なるため一概に言えませんが、このようなリスクを心配される方は、なるべく価格の底堅い中古物件に絞って物件探しをすることが良いです。
また、物件を購入するときの手続きや流れはこちらの記事で詳しく紹介しています。物件探し時にあわせてご確認ください。
「中古住宅を購入するときの主な手続きと流れを解説」
おわりに:物件の種別によって諸費用の平均金額は違うことに注意
購入にかかる諸費用の平均は、新築マンションの場合で物件価格の3~5%程度、中古マンションと一戸建ては6~10%程度、注文住宅は土地・建物の総額の10~12%程度が目安であることがわかりました。
住宅を安心・安全に購入するためには資金計画が非常に重要です。ご自身が希望される物件の場合はいつ・どの程度の諸費用が必要となるのか、事前に調べておきながら物件探しをすると良いでしょう。
またこの資金計画の際は、引っ越し代や家具代など忘れがちな購入後の支出についてもしっかり計算に入れておきましょう。
この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。