住宅ローンを利用して住宅購入や増改築をした場合、一定の条件を満たすことにより「住宅ローン控除」を受けることができます。
住宅ローン控除とは、ローンを組んでから一定期間、年末のローン残高に対する1%分を所得税額から控除する制度です。
住宅ローン控除は毎年数十万円が控除される仕組みであるため、住宅ローンを組まれる方にとっては非常にメリットのある制度です。しかし、自動的に適用されるのではなく、手続きを行う必要があるため注意が必要です。
住宅ローン減税はしばしば制度改正が行われています。まずは本記事で住宅ローンの基本を押さえ、ご自身が利用される際には必ず最新の内容をチェックしましょう。
住宅ローン控除とは?
住宅ローン控除とは、住宅購入や一定の増改築、リフォームを行い、それに伴う10年以上の住宅ローンを組んだ場合に適用される税金の優遇制度です。
現行法においては、年末ローン残高に対する1%が所得税額から控除されます。なお、ローン残高の上限は4,000万円(認定長期優良住宅または認定亭炭素住宅の場合5,000万円)と設定されており、仮に1年目の年末ローン残高が3,950万円であった場合は39万5千円が所得税額から控除されます。
また、期間は現行10年と設定されています。ただし、平成31年改正において。消費税10%対象の新築物件を購入した場合は、その期間が13年までに延長されることとなりました。
住宅ローン控除とは、
- 住宅ローン控除はローン残高の1%を控除する仕組み
- 適用を受けるためには一定条件を満たす必要あり
- ローン残高の上限は4,000万円
- 購入翌年の確定申告による手続きが必要
住宅ローン控除を受けるためには?
住宅ローン控除は金銭的メリットが大きい制度ですが、全ての場合に適用されるわけではなく以下のような様々な要件をクリアする必要があります。
- 床面積が50㎡以上であること
- 床面積の1/2以上が居住用であること
- 築20年超(マンションなどの場合は25年)または耐震基準適合証明が取得できること
- 自己の居住用であること
- ローンの返済期間が10年以上であること
- 年収が3,000万円以下であること
上記のように複数要件があるため、ご自身だけで適用の成否を判断することはおすすめできません。必ず仲介会社や税務署の窓口などで相談しましょう。
住宅ローン申請の流れ
住宅ローン控除を受けるためには、購入翌年に確定申告を行う必要があります。
確定申告は毎年2月16日〜3月15日の期間中に税務署の窓口、または郵送や電子申請などにより行います。
この確定申告で申告書への記入及び必要書類を提出し、これが受理されると指定の口座に所得税控除額が還付されます。
なお、確定申告は1回限りで2年目以降は不要です。会社員であれば年末調整により自動的に控除が行われる仕組みとなっています。
住宅ローン控除に必要な準備・書類
住宅ローン控除の申請、つまり確定申告時には以下のような書類が必要です。
直前で慌てることが無いよう、事前に必要書類を確認しておきましょう。
- 源泉徴収票
- 住民票
- ローン残高証明書
- 土地・建物の登記簿謄本
- 売買契約書(リフォーム等の場合は請負契約書)
なお、登記簿謄本などの物件に関する資料については、購入時に説明を受ける重要事項説明の添付資料として受け取ることが通常です。
購入時にはローン控除の受ける予定を仲介会社(法人売主であればその担当者)に伝え、どの書類が該当書類であるかアドバイスを受けておくことをおすすめします。
住宅ローン控除を利用するときの注意点
住宅ローン控除を利用する場合、以下の状況においては注意が必要です。
- 繰り上げ返済する場合
- ペアローンを組んだ場合
繰り上げ返済する場合
住宅ローン控除は住宅ローン残高を基準に計算されるため、繰り上げ返済によりローン残高が減ると、その分住宅ローン控除も減ることになります。
控除金額の最大化を図るためには、繰り上げ返済は適用期間満了後から始めることがおすすめです。
特に金利が低い現時点においては、繰り上げ返済をした方がかえってトータルの返済額が多くなる可能性もあるのです。
ペアローンを組んだ場合
夫婦でペアローンを組んだ場合、共有持分に応じてそれぞれの所得税額から控除されます。つまり、将来的にどちらかが退職した場合、ローン残高に関わらず、退職した方のローン控除は受けられなくなくなります。
そのため、メリットの最大化を図るためには、ローンを組む時点である程度の将来予測を考慮して、共有持分の設定をしておく必要があるのです。
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おわりに:住宅ローン控除の可否は事前に必ず確認しよう
住宅ローン控除とは、ローンを利用して住宅購入や一定の増改築、リフォームを行った場合に適用される税金の優遇制度です。
この制度を受けるためには、一定の要件をクリアすること、そして購入翌年に確定申告を行う必要があります。
そのため、購入したい物件が見つかった際には、ご自身だけで適用の成否を判断せず、必ず仲介会社や税務署の窓口などで事前に相談することをおすすめします。
この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。