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2021.02.26 

耐震基準適合証明書とは?基本知識や発行するメリットなどを解説

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住宅に関連する各種税金や優遇制度は、建物の築年数が大きく影響します。
大きな分かれ目としては、木造戸建てなどの非耐火建築物で築20年、マンションなどの耐火建築物で25年対象住宅の築年数がこれを超えるか否かで登録免許税や不動産取得税における軽減措置や、住宅ローン控除といった制度の適用可否が異なります

ただし、これら築年数を超える場合でも「耐震基準適合証明書」を取得することができれば、これらの制度を利用することが可能です。

本記事の主な内容は下記のとおりです。

  • 控除や減税の対象は非耐火建築物で築20年以下、耐火建築物で25年以下
  • 耐震基準適合証明書が発行されている物件は築年数の要件が外れる
  • 適合証明を利用するには、物件引き渡し前の調査と申請が必要

耐震基準適合証明書が取得できれば、中古住宅を購入するうえでは金銭的メリットが非常に大きいです。
仲介会社の中には、適合証明の取得方法や、そもそもどういった内容か理解していない担当者もいるため注意が必要です。

▼信頼できる不動産会社を選びたいときに、ぜひ参考にしてみてください。
仲介手数料無料は危険?中古マンション購入の際に誠実な不動産会社を見極める5つのポイント

築年数が古い物件を検討する際には建物の状態はもちろんのこと、適合証明書の取得可否についても、ご自身でも慎重にお調べいただくことが重要です。

目次

耐震基準適合証明書とは?

「耐震基準適合証明書」とは、対象となる建物の耐震性能が現行法の基準を満たしていることを建築士事務所や指定検査機関などの専門家が証明した書類です。

住宅ローンによる所得税控除や不動産取得税の減税の対象となるのは、非耐火建築物で築20年以下、耐火建築物で25年以下となっています。

しかし、この築年数を超える建物であっても耐震基準適合証明書を取得することで各種制度の適用が可能となるのです。
証明書の発行には専門家の調査や耐震補強が必要となる場合もあるため費用が発生する一方、各種制度を適用できると金銭的メリットは非常に大きいです。

耐震基準適合証明書が発行される建物の条件

耐震基準適合証明書が発行されるには、建物が「現行の建築基準法の耐震基準をクリアしていること」が必要です。

現行法の耐震基準は、1982年6月に導入されました。したがって、1982年6月以降に建築確認を取得して着工した建物は余程の劣化等がなければ、耐震基準に適合する可能性が高いと言えます。

またそれ以前の建物についても、耐震診断により耐震基準をクリアしたもの、あるいは耐震補強を行うことによって後にクリアしているものあります。

耐震基準適合証明書を取得するタイミングはいつ?

耐震基準適合証明書は耐震基準に適合していれば自動的に取得できるわけではなく「申請」が必要です。

耐震基準適合証明書の取得による税制等の軽減措置を受けるには、住宅の取得日の前2年以内に実地調査を行い、証明書を取得しておく必要があります。
したがって、物件引き渡し前に専門家の調査と証明書の申請は必須となります。

また「物件引き渡し前」と「物件引き渡し後」、どちらのタイミングで取得するかは売主との協議事項となります。それぞれの流れを見ていきましょう。

物件引き渡し前に取得する場合

  • 売買契約
  • 耐震工事の実施
  • 耐震基準適合証明書の申請
  • 耐震基準適合証明書の取得
  • 物件引き渡し

物件引き渡し後に取得する場合

  • 売買契約
  • 耐震工事の実施
  • 耐震基準適合証明書の申請
  • 物件引き渡し
  • 耐震基準適合証明書の取得

耐震基準適合証明書が発行されるメリット

耐震基準適合証明書が取得すると、下記メリットを受けることができます。

  • 住宅ローン控除が適用される
  • 登録免許税が軽減される
  • 不動産取得税が軽減される

住宅ローン控除が適用される

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで住宅を購入した場合、毎年のローン残高の1%を所得税から控除する制度です。
この制度を利用するためには、住宅の床面積や所得上限などに制限があるほか、原則的に建物の築年数は非耐火建築物が20年以下、耐火建築物が25年以下であることが要件となっています。

しかし、耐震基準適合証明書が発行されている物件はこの築年数の要件が外れ、住宅ローン控除の適用を受けることができるのです。

登録免許税が軽減される

住宅の引き渡しを受ける際には、「所有権移転登記」および住宅ローンを組んだ場合は「抵当権設定登記」を行います。
この登記をする際は国税である「登録免許税」が発生します。

この登録免許税では、耐震基準適合証明書を取得することにより下記のとおり税率の軽減を受けることができます。

  • 建物所有権移転:2.0%→0.3%
  • 抵当権設定:0.4%→0.1%

不動産取得税が軽減される

不動産取得税とは、不動産を取得した際に発生する都道府県税です。
不動産取得税は、昭和56年以降に建築された建物の場合は自動的に軽減を受けることができます。それ以前に建築された建物の場合でも、耐震基準適合証明の提出をすることで不動産取得税の軽減を受けることが可能です。

築年数が古い建物でも諦めなくていい場合もある

築年数が古い建物であっても、「耐震改修」を行うことにより耐震診断適合証明書の取得ができる場合があります。
木造戸建ての場合、100~200万円の費用の耐震改修により耐震基準をクリアできると言われています。補修には多額の費用が発生しますが、特に住宅ローンを利用される方であれば税金軽減などで十分回収できる金額です。

ただし、マンションの耐震改修は一般的に数千万円かかると言われおり、また補修の実施は他居住者の同意が必要となるため現実的ではありません。

耐震性をセルフチェックする方法

耐震基準に適合しているか否かは、専門家の正式な判断が必要ですが、ご自身でも大まかなチェックは可能性です。
セルフチェックのポイントを覚えておきましょう。

  • 新耐震基準に基づいた建物である
  • 耐震診断が実施されている
  • 耐震マークがある

▼耐震基準の見極めポイントはこちらの記事で詳しく解説しています。
新耐震基準(新耐震)と旧耐震の違いと見極めポイント

新耐震基準に基づいた建物である

建築基準法の「新耐震基準」の建物であれば、基本的には適合有りと判断されます。
新耐震基準とは、1982年6月以降に建築確認を取得して着工した物件のことを指します。

新耐震・旧耐震では要求される耐震性能が大きく異なるため、この新・旧どちらの基準で建築されているかは、販売価格にも影響する項目です。

新耐震基準で建築されているかどうかは、物件の設計図書を見れば判断できます。もし売主が設計図書を無くしてしまっている場合は、物件所在の行政窓口で取得可能な「建築概要書」でも確認することができます。

耐震診断が実施されている

旧耐震基準の建物の場合は、「耐震診断が実施されているか」を確認しましょう。
耐震診断とは、建築士などの有資格者が設計図に基づく構造計算や現地での躯体チェックを行い、建物の耐震性能を評価することを言います。

この耐震診断において、現行法の耐震基準と同等の耐震性能を有していると評価されており、かつ現在の状態が評価当時と著しく乖離していなければ、適合有りの可能性が高いと言えます。

なお、マンションにおける耐震診断は、数百万円以上の大きなコストがかかるため、旧耐震マンションであっても未実施の物件が多いです。
購入検討される際は、新・旧耐震基準の確認と合わせて「耐震診断の有無」についても早めに問い合わせておくことをおすすめします。

耐震マークがある

東京都所在の物件であれば「東京都耐震マーク表示制度」による判断も可能です。
東京都で把握している物件については、下記分類のマーク(ステッカー)を交付しています。そのマークはマンションのエントランスなどに貼られているので、どの分類かこちらで確認することができます。

  • 新耐震適合
  • 耐震診断済
  • 耐震改修済

耐震基準適合証明書を利用するときの注意点

耐震基準適合証明書を利用する際には、下記ポイントに注意しましょう。

  • 物件引き渡し前の調査と申請が必要
  • 耐震基準適合証明を理解していない不動産会社も多い

耐震基準適合証明書を取得するには、物件引き渡し前の専門家による調査と証明書の申請が必要です。このタイミングで調査と申請を行わず、物件の引き渡しを一旦受けてしまうと証明書の取得が不可能となってしまいます。

そして、意外と注意しなければならないのは「適合証明をよく理解していない不動産会社も多い」という事実です。
このような不動産会社に購入相談をした挙句、本来ならば適合証明書の取得が可能であったはずが金銭的メリットを取り逃してしまうケースもあるのです。

おわりに:耐震基準適合証明が取得できれば金銭的メリットが大きい

「耐震基準適合証明書」とは、対象となる建物の耐震性能が現行法の基準を満たしていることを建築士事務所や指定検査機関などの専門家が証明した書類です。

耐震基準適合証明書が取得できれば、登録免許税や不動産取得税の軽減措置、住宅ローン控除などが適用されるため、住宅購入におおける金銭的メリットが非常に大きいです。

ただし、建物が耐震基準に適合していれば自動的に取得できるわけではなく「申請」が必要です。この申請は物件の引き渡し前に必要となるため特に注意が必要です。
なお、耐震基準をクリアするかどうかは、書類による情報で概ね判断できるため、ある程度セルフチェックをしてから専門家に相談されることをおすすめします。

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この記事を監修した人

スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)

埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。

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