不動産の購入では、普段ではあまり馴染みのない専門的な知識や用語、手続きが矢継ぎ早に登場します。馴染みがないからこそ、物件探しや手続き中のミスに気づかず、購入後に後悔する方も残念ながら少なくありません。
そこで今回は、中古のマンションや一戸建てを購入したいけれど絶対に失敗したくない!そんな方のための「失敗しない物件の選び方と押さえるべきチェックポイントを3つ」ご紹介します。
- 購入価格は適正(適正な販売価格・支払い可能額)ですか?
- 築年数は何年ですか?
- 設備の不具合はありませんか?
他にも、心理的瑕疵のあり・なしについてもチェックしておくとよいでしょう。
こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
「不動産の「告知事項あり」の範囲とは?心理的瑕疵の意味も解説」
気に入った物件があったら、まずは上記をチェックしましょう。まだ物件が決まっておらず、これから決める方は信頼できる不動産会社に相談して購入をすすめていくのがおすすめです。
この記事では、不動産購入を失敗させないための詳しい解説をしていきますので、ぜひご覧ください。
中古マンションや中古一戸建て購入時の失敗しない選び方
失敗しない選び方で最も重要なことは、「なるべく情報を入手してから購入すること」です。
住宅購入を検討される際は、まずは新築物件か中古物件かで悩まれると思います。
新築物件は、法律に基づく買主保護の観点から、物件に関する情報の開示が徹底されています。さらに、購入後も定期的な巡回検査や補修など、売主負担による保証が充実しています。
新築物件の売主は不動産会社が多く、宅建業法による保証義務に加え、販売促進を図るために保証期間の延長といった独自のサービスを展開しています。
一方、中古物件の売主は一般消費者である場合がほとんどで、購入後における売主責任は新築物件と比較すると、その責任内容と期間がかなり限定されています。
さらに、仲介会社が介在している取引であっても、仲介責任は契約時に説明される重要事項説明書不備・不足など、よほどの場合でなければ難しいという側面もあります。
しかしながら、中古物件はこれらデメリットがある一方で、マンション、戸建てを問わずたくさんの価格帯の商品が流通しており、物件選びの幅が大きく拡がるというメリットがあります。
さらに、エリアやスペックによっては、新築物件よりも希少価値が高い物件も存在しており、資産性を重視される方にとっても中古物件は有力な選択肢となります。
中古物件は購入後のリスクが高い一方で、希望に合致する物件と出会えれば本当に良い買い物ができます。だからこそ、デメリットを打ち消すための「情報の確保」が最も大切なのです。
中古住宅購入時に見落としがちなポイント3選
物件選びの際は、希望するエリアや価格帯、見た目などが希望条件にマッチすると、すぐにでも購入に踏み切ってしまいがちです。
これからは、購入に踏み切る際に見落としがちなポイントを3つご紹介していきます。
購入価格
購入価格のポイントは2つです。
まずは、「適正な販売価格であるか」ということです。
中古物件の販売価格は、売主の希望価格から売り出していき、購入者が現れなければ段々と価格を下げていくという方法が一般的です。
急いで売却しなければならない場合を除き、販売開始当初は高めの価格を設定している場合がほとんどであるため、気に入った物件が相場価格よりも高いという可能性があります。
また、「支払可能な購入価格であるか」も重要です。
希望の物件が見つかると、少々無理をして住宅ローンを組み購入される方が少なくありません。また、最近では夫婦合算で住宅ローンを組むことも一般的となりましたが、実際に子育てなどで収入が減った場合などは、一時的に返済が困難になる可能性もあります。
住宅ローンを利用する際は、まずはご自身のライフスタイルや収入面を考慮し、十分返済可能な購入価格であることが重要です。
築年数と住戸面積
住宅ローンを利用する場合、築年数には注意が必要です。
住宅ローンを利用した場合、一定の条件を満たすと「住宅ローン控除」が適用されます。
住宅ローン控除は、その年末時点の残債額に応じて、所得税の一部を還付するという制度ですが、この制度を利用するためには、主な要件として下記条件を満たさなければなりません。
- 耐火建築物(マンションなど)は25年以内、耐火建築物以外(木造戸建てなど)は20年以内に建築された建物であること
- ・住戸の床面積が50㎡以上であること
仲介会社が介在していたとしても、住宅ローン控除は税制度であるため、この内容に関する説明義務はありません。
つまり、購入者自身がこの内容を把握していなければ、わずかな築年数や面積の差で、大きな金銭的メリットを逃してしまう可能性もあるのです。
設備の不具合
中古物件は、当然のことながら設備に関しても中古であるため、入居後に不具合が見つかることもあります。
一般的には、売買契約時点において「付帯設備表」という書面を売主が作成して買主に交付し、故障などが「無」としていたものに関して引き渡し後に故障が発見された場合は、一定期間、補修などによる保証を売主に課すことが一般的です。
しかし、この期間は一般的に1週間程度と非常に短いため、その後の生活に支障が生じないか、設備の状況をしっかり調査していくことが重要です。
購入前に対策できる失敗回避術
失敗を回避するためには、インターネットや専門家への相談などにより、事前に各種情報を入手しておくことが一番の方法です。
どのようなポイントで調査すべきかを解説します。
相場を把握しておく
購入を検討している物件が「適正な価格であるか」を調査します。
特にマンションであれば、過去の成約価格や周辺物件の売り出し価格など、ネット上では相場に関する情報が豊富に発信されていますので、気に入った物件の価格が相場価格と大きく乖離していないか、購入前にチェックしておきましょう。
内見ではすみずみまでチェックする
内見の際は、設備関連を重点的にチェックしましょう。
築年数が10年を超えた物件では、耐用年数を超えた設備を備えた物件が数多く流通しています。
特に水回り設備は交換に多額の費用負担が発生するため、ご自身で確認するほかにも、「ホームインスペクション(住宅診断)」と呼ばれる専門家による調査を依頼することも一つの方法です。
ライフプランナーに相談する
住宅ローンを利用する場合は、ライフプランナーに相談することがおすすめです。
このライフプラン相談では、想定される各年齢の収入と支出のバランスから、無理なく住宅ローンを完済することが可能かを分析していきます。
計画通りに生活が進むか否かは別として、購入する物件価格がご自身にとって適正であるか客観的に判断することができるのです。
信頼できる仲介会社・担当者に依頼する
物件に関する情報は、主に仲介会社から入手することになります。
つまり、仲介会社が住宅購入の明暗を分けるといっても過言ではありません。
そのため、物件ありきではなく、欲しい情報があれば迅速に手配してもらえるか、物件に関する疑問を丁寧に教えてもらえるか、そしてその内容に信用性があるものか、依頼する仲介会社や担当者の「質」も注意して見るようにしましょう。
おわりに:物件購入では情報収集が明暗を分ける
失敗しない住宅購入のためには、「情報を入手すること」が最も重要であるとお伝えしました。
そして、これらの情報を入手するためには、仲介会社の協力が不可欠です。そのため、物件を探すことだけでなく、信頼できる仲介会社を見つけ出すことにも十分な時間を費やしていただくと良いです。
購入後に「こんなはずではなかった」とならないよう、特に見落としがちなポイントについては都度チェックしながら物件選びを行ってください。
この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。