マンションの購入を検討する際には、新築か中古か、どちらを選ぶべきか悩むところです。
結論からお伝えすると、中古には新築にはない良さがたくさんあり、非常におすすめだといえます。
中古物件がおすすめである主な理由としては、
- 物件選びの幅が広がる
- 無理のない予算を設定することができる
- 購入前後のギャップが少ない
などが挙げられます。
日本では「家を買うなら新築であるべき」という思想、いわゆる「新築神話」が根強く存在しています。
さらに、住宅ローン控除や長期優良住宅制度など、明らかに新築物件の方が税金面で有利な法制度もあり、日本国内の不動産を取り巻く環境自体が新築物件の購入を後押ししている状況です。
確かに、新築未入居の部屋は気持ちが良く設備機器も最新のものが入るため、新築物件を希望される方が多いのも事実です。
しかし、駅距離やエリアといった他の希望要素を含めていけば、購入予算はどんどん上がっていきます。
新築マンションを購入された方の中には、「どうしても新築物件が良い」という理由だけで限界ギリギリの住宅ローンを組んでしまい、結果的に生活苦に陥る方も少なくありません。
住宅は購入することがゴールではありません。ご自身にとって安心かつ理想的な生活を実現するためには、新築一辺倒の思考にならずに中古物件も視野に入れて検討すべきなのです。
むしろ、希望条件によっては中古物件の方が適している場合もあります。
今回は、新築マンションにはない中古マンションならではの良さを詳しく解説していきます。
中古マンションならではのメリット3つ
中古マンションには、新築マンションには無い大きなメリットがあります。
ここでは代表的な3つのメリットについて解説します。
物件の流通量が多い
中古マンションの一番大きなメリットとも言えるのが「物件の流通量が多い」ことです。
物件の流通量が多ければその分、選択肢の幅が広がります。選択肢が多ければ悩むことも多くなりますが、生活に関わる大きな買い物だからこそ、たくさんの物件を比較して検討することが重要です。
また、マンションの間取りや周辺環境など、住宅に求める優先順位も経過とともに変わっていくことは珍しいことではありません。物件を見ていく中で、ご自身にとって「住宅購入で何が大切なのか」を整理していくことも、最良な物件と出会うためには重要な要素と言えます。
一方、新築マンションは土地価格の上昇や建築費の高騰の影響から、年々物件数が減少しています(※)。
また、近年は購入者の職住近接の思考が強まってきたことで駅近エリアに需要が集中し、それによって販売価格が上昇しています。
新築マンションは選択肢が限られているうえ、新築に固執した結果、無理して住宅ローンを組んでしまうとすれば、購入後に支払不能に陥る可能性もゼロではありません。
新築マンションであっても、慎重に返済計画を立てたうえで購入すれば問題はありません。しかし、新築であるが故に気持ちが高揚してしまい、なるべく良い条件の部屋を押さえるために無理をしてしまう、といったケースはよくある話です。
安心かつ理想的な生活を実現するためには、物件のエリアや設備仕様だけでなく、購入後のランニングコストも最大限考慮することが重要です。
そのためにも、中古マンションを視野に入れることで選択肢を広げることは非常に有効と言えます。
(※)参考:「ファイナンス」令和2年11月号~内容紹介~ : 財務省
中古マンション市場の動向についてPDFより
価格が安い
新築マンションは購入後すぐに不動産価格が20%程度下落してしまう」とも言えるのです。時世によって一概には言えないものの、資産性重視で購入される方におすすめしたいのが、
- 新築から1〜3年程度の築浅物件
- 再開発予定エリア周辺など、将来的な資産価値向上が期待できる物件
- 大手不動産会社の供給物件
このようなポイントで、資産価値の底堅い中古マンションを探されると良いでしょう。
なお、中古マンションは価格下落幅が小さいうえ、一戸建てと比べて流通量が多いという特徴があります。
この点からも、将来売却する可能性が少しでもあるのであれば、資産性の高い物件を探すという視点は、物件選びをするうえで重要な要素と言えそうです。
部屋を見てから購入することができる
新築マンションにおいて、特に大型物件である場合は実際の部屋を見てから購入することができません。
新築マンションは建物を着工した瞬間から集客を開始し、建物が完成する前に顧客と契約を行う、いわゆる「青田売り」が通常の販売方法です。
マンションの検討者が見るのは実際の部屋ではなく、モデルルームを見て設備機器を確認し、平面図から購入する部屋内部をイメージするのです。
新築マンションでも実際の部屋を内覧できる物件はありますが、それらは物件規模が小さいために当初から竣工後の販売を予定していたか、もしくは部屋自体が売れ残りである場合がほとんどです。
青田売りで購入した場合、当然のことながら「購入前のイメージと実際の部屋が異なっていた」というリスクは避けることができません。
しかし、買主はそれを承知のうえ購入しているため、余程のことでない限り購入後に売主へ責任を追及することはできないのです。
一方、中古マンションであれば、実際の部屋をしっかり確認してから購入することが可能です。
さらに、売主が一般消費者である場合は、部屋の使い勝手や周辺環境など、より実生活に近い情報を問い合わせることができるため、新築と比較すると購入前後のギャップを抑えることができます。
新築マンションにはない良さがたくさんある
中古マンションにある良さとして特筆すべきは、リフォームやリノベーションなどを利用することで「オーダーメイドの住まいを作ることができる」という点です。
新築マンションでも一部オプションを加えることができますが、壁紙の色や水回り機器の変更など、売主が用意した軽微な変更オプションに限られるうえ、オプションを追加すれば費用も上乗せされてしまいます。
中古マンションであれば、ご自身で内装業者へ発注して好きな機器を選ぶことができるため、より自由度の高いリフォームおよびリノベーションを行うことが可能です。
それでもデメリットもないわけではない
ここまで中古マンションならではのメリットを解説しました。しかし、その一方で下記のような中古マンションならではのデメリットも存在します。
- 仲介手数料が発生する
- 税金優遇が利用できない場合がある
仲介手数料が発生する
中古物件を購入する場合は、ほとんどが仲介会社を通じた取引であるため仲介手数料が発生します。そして仲介手数料は物件価格の3%程度と、諸費用の中でもとても大きな支出となります。
ただし、仲介会社の中には手数料無料を謳う会社もあるので、中古マンションを購入検討する際には、インターネットなどで事前に調べておくと良いでしょう。
税金優遇が利用できない場合がある
中古マンションを購入する場合は、新築マンションであれば利用できる税制優遇が対象外となる可能性があります。
特に築年数には注意が必要で、マンションにおいては「新築から25年以上経過している場合」は基本的に住宅ローン減税を利用することができません。
なお、25年以上経過している場合でも一定基準の条件を満たせば利用できることがありますので、築年数が古いマンションを検討されている方は仲介会社に問い合わせてみると良いでしょう。
おわりに:中古マンションは必ず検討した方が良い
住宅購入においては、日本では新築へのあこがれの意識がまだまだ強く残っています。
たしかに中古マンションは諸費用や税制面など、新築マンションと比べて劣る部分もあります。
しかし一方で、比較にならないほどの流通量の多さや実際の部屋をしっかり確認できる点など、中古マンションならではの大きなメリットがあるのです。
これから物件探しをされる方も、現時点で新築マンションを検討されている方も、中古マンションを見ていただくことで、きっとご自身にとって最良の物件を見つけることができるでしょう。
この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。