中古マンション購入の際には様々な諸費用が必要になることを知っていますか?不動産会社のホームページやチラシなどに物件の価格が表記されていますが、その金額を用意すれば中古マンションを購入できるわけではありません。
「手数料が多少かかるかもしれないけど消費税みたいなものだろう」こんな風に考えていた結果、いざ見積もりを出してもらったときに仰天することになったという人は数多くいます。また、貯蓄を全て中古マンション購入に回してしまうと、病気や事故など不測の事態が起きたときにとても困ることになるため、おすすめはできません。
したがって、中古マンション購入の際に必要な諸費用を正確に把握して、しっかりした購入プランを立てましょう。
中古マンション購入にはいろいろなお金がかかる
不動産会社のチラシやパンフレットに記載されている金額は、あくまでその物件の価格です。購入の際に必要になる諸費用は一般的に記載されていません。
その諸費用ですが、中古マンションを購入する場合は物件価格の10%程度が目安と言われています。つまり、4000万円の物件を購入するとさらに400万円の支出があるということです。決して安くない金額ですよね。
では、具体的にどのような諸費用が必要になるのでしょうか?以下で見ていきましょう。
中古マンション購入時に必要な諸費用
マンション購入の際にかかる諸費用は支払うタイミングがそれぞれ異なっています。そのタイミングごとに具体的な内訳を見ていきましょう。
マンション購入時
マンション購入時にかかる諸費用は下記のとおりです。
- 印紙税
- 仲介手数料
印紙税
経済取引の際に作成される文書にかかる税金で、売買契約書と金銭消費貸借契約書 (ローン契約書)に必要になります。
仲介手数料
不動産会社に支払う紹介料のようなものです。これには消費税もかかります。
住宅ローン契約時
住宅ローン契約時にかかる諸費用は下記のとおりです。
- 印紙税
- 登録免許税
- ローン事務手数料
- 団体信用生命保険料
- 火災保険料
- 引っ越し代
印紙税
住宅ローン契約時に必要なものです。
登録免許税
住宅ローンの申請時に抵当権を設定しますが、その際に必要になる税金です。
ローン事務手数料
住宅ローンを借りるときに金融機関や保証会社に対して支払います。
団体信用生命保険料
これらはローン支払者が事故や病気などでローンを払えなくなったときに、保証会社などに代理として支払いを保証してもらうための料金です。
火災保険料
マンションに限らず賃貸物件などでも必要になりますね。
引っ越し代
前の住居の修繕費や、引っ越し業者に支払う代金がこれに含まれます。
決済・引き渡しのタイミング
決済・引き渡し時は諸費用が最も発生するタイミングです。
その項目や金額は、住宅ローンの利用有無や物件価格など状況によって異なりますが、一般的に下記の費用が発生します。
- 印紙代(ローン契約書貼付用)
- ローン保証料
- 団体信用生命保険料(団信)
- 登録免許税
- 司法書士報酬
- 火災保険料
印紙代(ローン契約書貼付用)
住宅ローンを利用する場合、ローン契約書(正しくは「金銭消費貸借契約書」)を締結する際にも印紙を貼付する必要があります。
この場合の金額も不動産売買契約書と同様です。
- 1千万円超~5千万円以下…2万円
- 5千万円超~1億円以下…6万円
(※2020年4月時点)
ローン保証料
ローン保証料は、貸主である金融機関が指定した保証会社へ支払う費用です。この金額は保証会社によっても異なりますが、一括で支払う場合30年の借入期間で「1,000万円あたり20万円程度」と覚えておくと良いです。
またローン保証料は、月々の返済金利に上乗せして支払うことができる金融機関も多いです。この場合は購入時の諸費用を減らすことができますが、保証料の総額は一括支払いと比べると割高になるため注意が必要です。
団体信用生命保険料(団信)
団体信用生命保険料(団信)は、住宅ローンを組んだ本人が死亡や高度障害などにより、支払いの継続が困難となった場合、ローン残債が無くなる保険です。
民間の金融機関の多くは団信に加入できることを理由に保険料が無料である場合が多い一方、フラット35の場合には団信への加入が任意かつ有料となるため、事前に金額を確認しておきましょう。
登録免許税
登記の際に必要となる国税で、課税額は借入金額によって決まります。こちらも、正確な金額は国税庁のホームページ「No.7191 登録免許税の税額表|国税庁」で参照できるので、ぜひ事前に目を通してください。
司法書士報酬
決済・引き渡し時に行う「所有権移転登記」と「抵当権設定登記」(住宅ローンを組んだ場合)は登記のプロである司法書士へ依頼することが一般的です。
この報酬額は、地域によって大まかな相場があるものの依頼する司法書士事務所によって異なるため、事前に仲介会社を通じて概算金額を確認しておきましょう。
火災保険料
住宅ローンを組む場合、火災保険はマストになると考えておきましょう。なお、保険期間や保険料は物件の築年数や構造によって異なるため、保険会社や仲介会社にあらかじめ確認しておきましょう。
入居後にかかる諸費用
入居後にかかる諸費用は下記のとおりです。
- 不動産取得税
- 固定資産税
- 都市計画税
不動産取得税
不動産を取得した際に都道府県に支払う税金です。これは一度のみの支払いです。
固定資産税
保有している土地や建物の価値に応じて課税されます。毎年1月1日に物件の所有者にかかります。
- 固定資産税の税額=課税標準(固定資産税評価額)×標準税率1.4%
都市計画税
こちらは市町村が物件の所有者に課税するものです。固定資産税と同様に、毎年1月1日に課税されます。
- 都市計画税の税額=課税標準(固定資産税評価額)×制限税率0.3%
以上が中古マンション購入時にかかる諸費用で、これらの合計が物件価格のおよそ10%になります。
少しでも諸費用を安くするためには?
上記を見るとわかるように、諸費用の多くは税金であったり、保険であったりと欠かすことはできないものです。しかし、唯一削ることができる費用があります。それは仲介手数料です。仲介手数料は不動産会社の収入となるもので、マンション自体には関係がありません。
また、諸費用の中でも仲介手数料が占める割合は大きく、例えば、3000万円の中古マンションを購入すると最大で100万円近い手数料を請求されます。ですから、この費用を上手く削ることで出費を大きく抑えることが可能なのです。
ただ、上述したように仲介手数料は不動産屋の主要な収入源ですから、値切り交渉は難しいです。成功してもそこまで安くはならないでしょう。
そこで、最初から仲介手数料が無料の不動産会社を利用することをおすすめします。同じ物件であっても複数の不動産会社が仲介していることが多いので、希望の物件を取り扱っている業者で仲介手数料を安くしているところがないか探してみましょう。最近は手数料無料の不動産会社も増えていますし、無料までいかなくても他と比べて安く設定している会社も多くありますよ。
▼新築一戸建ての仲介手数料の情報をお探しなら、こちらの記事をご覧ください。
「新築一戸建てを仲介手数料無料で購入」するには?購入時のポイントや仕組みを解説
おわりに
中古マンション購入時にかかる諸費用を甘く見ていると、トラブルの原因になることもあります。不安な点がある場合は、不動産会社に正確な見積もりを出してもらったり、詳しく相談に乗ってもらったりするとよいでしょう。
この記事を監修した人
スターフォレスト代表取締役
増田浩次(ますだこうじ)
埼玉県出身。親族の大半が不動産業界を営んでいたことから、自身も不動産業界へ入って30年近くが経ちます。モットーは、お客さまに喜んでいただけるような的確な提案をすること。お客さまには物件の良いところも悪いところもすべてお話しています。
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー、損保募集人資格を所持しておりますので、住宅ローンや資金計画のご相談・アドバイスもお任せください。